内窓リフォームで固定資産税は上がる?

内窓リフォームで固定資産税は上がる?

冬の厳しい寒さや夏の寝苦しい暑さを解消するために、窓周りの改修を検討される方が増えています。
既存の窓を二重にする工事は、お部屋の断熱性を手軽に高める方法として非常に人気を集めていますが、「家の資産価値が上がって、税金まで高くなってしまうのではないか」と不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

建物の評価額が見直されて毎年の出費が増えるとなれば、リフォームの決断に慎重にならざるを得ません。
この記事では、窓の改修をおこなった際の税金への影響や、知っておくべき最新の税制について詳しく解説します。

この記事をお読みいただくことで、税金が増えるという漠然とした不安を払拭し、自信を持って計画を進めることができます。
さらに、賢く税負担を抑えるための減税制度の仕組みや補助金に関する知識も得られますので、快適な住まいづくりを進めるための参考としてぜひお役立てください。

内窓の設置だけで税額が高くなることはありません

内窓の設置だけで税額が高くなることはありません

結論から申し上げますと、内窓リフォームをおこなっても固定資産税が上がることはありません
既存の窓の内側に新しい窓を取り付けるだけの工事であれば、家屋の評価額が引き上げられる対象にはならないからです。

固定資産税は、土地や家屋の資産価値(評価額)をもとに算出されます。
この評価額は原則として3年ごとに見直され、建物の場合は築年数が経過するにつれて少しずつ価値が下がっていくのが一般的です。
窓を二重にして住宅の性能が向上したとしても、そのこと自体が家屋全体の評価額を押し上げる要因としてみなされることはありません。

それどころか、一定の省エネ基準を満たす改修をおこなった場合は、特例措置によって翌年度の固定資産税が減額される可能性があります。
つまり、「リフォームで税金が上がる」という心配は不要であり、むしろ「要件を満たせば税金が安くなるかもしれない」というのが正しい認識と言えます。

工事の規模と建築確認申請の有無が評価の分かれ道

工事の規模と建築確認申請の有無が評価の分かれ道

なぜ窓の改修だけで税金が高くならないのか、その具体的な理由と、例外的に税金が上がってしまうケースについて解説します。

延床面積が変わらないため

固定資産税の評価額を決定する上で重要な要素の一つが、家屋の「延床面積」です。
内窓の設置は、現在ある窓の室内側の木枠(額縁)に新しい窓枠を取り付ける工事です。
建物の外壁を外側に広げたり、新しく部屋を増築したりするわけではないため、延床面積が増加することはありません

課税の基準となる床面積が変わらない以上、税額を計算するための基本的な数値は工事前と変わらず、結果として税金が上がることもありません。

建築確認申請が不要なため

家屋の評価額が大きく見直されるタイミングは、行政に対して「建築確認申請」をおこなったときです。
建築確認申請とは、建物を新築・増築したり、大規模な改修をしたりする際に、その計画が建築基準法などの法令に適合しているかを行政機関に確認してもらう手続きのことです。

この申請がおこなわれると、行政側で家屋の価値が大きく変化したと判断され、固定資産税の再調査や再評価が実施される仕組みになっています。
しかし、一般的な内窓の設置工事は、建物の主要な構造部(壁、柱、屋根など)に手を加えるものではないため、原則として建築確認申請をおこなう必要がありません
申請が不要であるということは、行政による評価額の再調査が入るきっかけがないということを意味しています。

例外として税金が上がってしまうケース

窓の改修単独では税金は上がりませんが、他の大規模な工事と同時におこなう場合は注意が必要です。
以下のようなケースでは、建築確認申請が必要となり、家屋の評価額が再計算されて固定資産税が上がる可能性があります。

  • 増築を伴う改修をおこない、住宅の延床面積が増加した場合
  • 建物の骨組みだけを残して全面改修する、いわゆるスケルトンリフォーム(大規模修繕)をおこなった場合
  • 店舗から住宅へ、または住宅から店舗へといった用途変更を伴う場合

このような大規模な計画を立てているAさんなどの施主の方は、事前に自治体の窓口や専門家に税金への影響を確認しておくことをおすすめします。

要件を満たせば「省エネ特例」で減税対象に

税金が上がらないだけでなく、国が推進する「住宅省エネ改修促進税制」を活用することで、固定資産税が減額される特例措置が存在します。
これは、住宅の熱損失を防ぐための断熱工事を促進する目的で設けられた制度です。

具体的には、以下の条件を満たすことで、改修工事が完了した翌年度の固定資産税が3分の1減額されるという内容です(居住用床面積120平方メートル相当分が限度額となります)。

  • 省エネ改修工事にかかる費用が、補助金等を除いて50万円を超えていること
  • 現行の省エネ基準(平成28年基準相当)に新たに適合する工事であること
  • 内窓の設置、または高性能な窓への交換工事が含まれていること
  • 改修後の住宅の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であり、その2分の1以上が居住用であること

なお、この省エネリフォームによる固定資産税の減額特例(令和6年3月31日までの期限)は、現在は新規適用が一旦終了しており、過去に完了した工事分が継続適用されている状況です。
しかし、国土交通省や国税庁のガイドラインでは、窓断熱工事に対する所得税の控除制度は並行して推進されており、2025年以降に向けた新制度への移行や期限延長が議論されています。
最新の税制優遇については、工事を依頼する事業者や自治体へ事前に確認することが重要と考えられます。

ケース別に見る税金と費用のシミュレーション

ケース別に見る税金と費用のシミュレーション

ここからは、実際の改修工事の状況に合わせて、固定資産税がどのように扱われるのかを3つの具体例で解説します。

一般的なマンションでの内窓設置のみをおこなうケース

マンションにお住まいのBさんが、冬の結露対策と防音のために、リビングと寝室の3箇所の窓に内窓を取り付けたとします。
工事費用は総額で30万円でした。

この場合、延床面積の変更や建築確認申請は発生しません。
したがって、固定資産税が上がることはありません
一方で、工事費用が50万円以下のため、前述した省エネ特例による固定資産税の減額措置も対象外となります。
翌年度の税金は、工事前と同じ評価額に基づいて計算されることになります。

要件を満たす戸建てで断熱改修をおこなうケース

築20年の戸建て住宅にお住まいのCさんが、家全体の断熱性を高めるために、すべての窓(10箇所)に内窓を設置し、工事費用が80万円かかったとします。
使用した窓は平成28年省エネ基準に適合する高性能な製品でした。

このケースでも建築確認申請は不要なため、固定資産税の評価額が上がることはありません。
さらに、工事費用が50万円を超えており、省エネ基準を満たしているため、所定の手続きをおこなうことで翌年度の固定資産税が3分の1に減額される特例の対象となります。

減額を受けるためには、工事完了後3ヶ月以内に、お住まいの市区町村へ「固定資産税減額申請書」や建築士等が発行する「熱損失防止改修証明書」、工事内容がわかる書類などを提出する必要があります。
また、耐震リフォームを同時におこなった場合は、さらに2分の1の軽減が受けられるケースもあります。

間取り変更を伴うフルリノベーションと同時におこなうケース

中古の戸建てを購入したDさんが、間取りを大きく変更し、一部を増築するフルリノベーション工事をおこないました。
その際、建物の性能向上のためにすべての窓に内窓を設置しました。

この場合、増築や主要構造部に手を入れる大規模な工事(スケルトンリフォームなど)が含まれるため、行政への建築確認申請が必要となります。
工事完了後、自治体の担当者による家屋調査がおこなわれ、家屋の価値が上がったと再評価されます。
その結果、翌年度からの固定資産税が上がる可能性が高いと考えられます。

内窓を設置したから税金が上がったわけではなく、家屋全体の価値を向上させる大規模工事をおこなったことが増税の理由となります。

工事費用の目安と自治体による違い

窓の断熱改修を検討する際、税金への影響と併せて知っておきたいのが工事費用の相場です。
国土交通省の資料などによると、内窓を新設する場合の標準的な単価の目安は以下の通りとされています。

  • 北海道などの寒冷地(1〜3地域):1平方メートルあたり約11,800円
  • その他の一般的な地域(4〜7地域):1平方メートルあたり約7,700円

窓のサイズや選ぶガラスの種類(単板ガラス、複層ガラス、Low-E複層ガラスなど)によって価格は変動しますが、一部屋あたり数万円から十数万円程度で施工が可能です。

また、固定資産税の標準税率は1.4%と定められていますが、自治体によっては独自の税率を設定している場合もあります。
近年は国や自治体が主導する「地域窓リフォーム支援事業」などの補助金制度と組み合わせて施工する事例が増加傾向にあります。
補助金を活用することで初期費用を大きく抑えることができるため、税制優遇と併せてお住まいの自治体の情報を調べておくことをおすすめします。

正しい知識で賢く住まいをアップデートしましょう

内窓リフォームと固定資産税の関係について解説してきました。
この記事でお伝えした重要なポイントは以下の通りです。

  • 内窓の設置単独で固定資産税が上がることはない
  • 延床面積が増加せず、建築確認申請が不要なため評価額の見直し対象にならない
  • 増築や大規模修繕を伴う場合は、家屋の再評価により税金が上がる例外的なケースとなる
  • 条件を満たす省エネ改修であれば、特例で翌年度の固定資産税が3分の1減額される可能性がある
  • 減額措置を受けるには、工事完了から3ヶ月以内に自治体への申告が必要である

「家を良くすると税金が高くなる」という誤解によって、快適な暮らしへの改善を諦めてしまうのは非常にもったいないことです。
窓の断熱性を高めることは、冬のヒートショックのリスクを減らし、日々の光熱費を節約することにも直結します。

快適な暮らしへの第一歩を踏み出しましょう

税金が増えるのではないかという不安は解消されましたでしょうか。
内窓リフォームは、数ある住宅改修の中でも、費用対効果が高く、比較的短時間(1箇所あたり数十分〜数時間程度)で完了する手軽な工事です。

これから施工を検討される方は、まずは地元の信頼できるリフォーム会社や工務店に現地調査を依頼し、ご自宅の窓に合わせたお見積もりを出してもらうところから始めてみてください。
その際、「お住まいの地域で使える補助金はあるか」「減税の対象になる証明書は発行してもらえるか」を合わせて相談することで、よりお得に、そして安心して計画を進めることができます。

税金や費用の制度を上手に活用しながら、一年中快適で健康に過ごせる理想の住まいを手に入れてください。