
既存の窓に断熱対策をしようと考えた際、「自宅の窓が網入りガラスだから、内窓を付けると割れてしまうのでは」と不安に感じる方は多いと思われます。
特に、断熱性能の高いLow-E複層ガラスを検討している場合、「熱割れのリスクが高まる」「危険だからやめたほうがいい」といった情報を目にし、設置をためらってしまうケースが少なくありません。
しかし、本当に設置は不可能なのでしょうか。
本記事では、そのような疑問をお持ちの方に向けて、専門的な視点から熱割れが起こるメカニズムや、安全に設置するための条件について客観的に解説します。
この記事をお読みいただければ、リスクを正しく理解し、ご自宅に最適な断熱対策を安心して選択できる未来に繋がると考えられます。
スマホで簡単!完全無料の注文住宅一括比較ならこちら
網入りガラスへのLow-E内窓設置は事前の計算で安全に対応可能です

結論から申し上げますと、網入りガラスにLow-E複層ガラスの内窓を組み合わせたからといって、必ずしも危険というわけではありません。
確かに条件次第で熱割れのリスクは高まりますが、事前に専門業者さんによる熱割れ計算(シミュレーション)を行えば、十分にコントロールすることが可能です。
「絶対に設置してはいけない」と諦める必要はなく、プロの知識と適切な設計を用いることで、安全で快適な窓環境を実現できるとされています。
なぜ熱割れのリスクが高まると言われているのか?

そもそも「熱割れ」とは、ガラスの一部だけが急激に温度上昇し、周囲との温度差によって生じる熱応力にガラスが耐えきれずにひび割れを起こす現象です。
衝撃による割れとは異なり、直線的にスーッと伸びるようなひびの入り方が特徴とされています。
では、なぜ特定の組み合わせでこのリスクが高まるのか、その理由を詳しく解説します。
網入りガラス自体が熱にデリケートな素材であるため
網入りガラスは、防火や延焼防止を目的として、ガラス内部に金属製のワイヤーが埋め込まれたガラスです。
この金属の網が太陽熱を吸収しやすく、ガラス内部に熱がこもりやすいという特徴を持っています。
さらに、金属の網とガラスでは熱で膨張する割合(熱膨張率)が異なるため、一般的なフロートガラスよりも内部に強い熱応力が生じやすく、熱割れしやすい性質があります。
専門家の分析によれば、ガラスの強度を示す許容応力度を比較すると、一般的なフロートガラスが17.7MPaであるのに対し、網入りガラスは9.8MPaと低くなっています。
そのため、「あらゆるガラスの中で最も熱割れしやすい、非常にデリケートな素材」と指摘されています。
内窓の設置によって窓の間に熱がこもるため
内窓(二重窓)は、既存の窓の室内側にもう1枚ガラスを追加することで、断熱、防音、結露軽減などの大きなメリットをもたらします。
しかし、外窓と内窓の間に新しい空気層ができることで、そこに熱が滞留しやすくなるという側面があります。
特に直射日光が当たる環境では、外窓と内窓の間にこもった熱によって網入りガラス側が高温になりやすくなります。
日向の部分と日陰の部分で極端な温度差が生じると、その「急激な温度差」が網入りガラスの弱点を突き、熱割れを引き起こす可能性が高まると考えられます。
防火設備として網入りガラスが指定されているマンションやビルでは、安易に内窓を取り付けることが事故の原因になり得るため、注意が必要です。
Low-E複層ガラスが高い遮熱・断熱性能を持つため
Low-E複層ガラス(Low-Eガラス)は、ガラスの表面に特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティングすることで、断熱性や遮熱性を飛躍的に高めたペアガラスです。
この金属膜が熱を反射し、室内の暖かさを逃がしにくくする優れた性能を持っています。
しかし、その性能の高さゆえに、熱が外窓と内窓の間、あるいはガラス自体に戻ったりこもったりしてしまいます。
例えば、「外窓が網入りガラス+Low-E」「内窓もLow-E複層ガラス」といった組み合わせの場合、互いに熱を反射し合い、窓と窓の間の空間に熱が蓄積されやすくなります。
結果として、窓の外側と内側、日向と日陰での温度差がさらに大きくなり、熱割れの条件が揃いやすくなるとされています。
熱割れを防ぐための具体的な対策と事例
リスクが存在することは事実ですが、適切な手順を踏めば安全に内窓を設置することが可能です。
ここでは、プロが実践している具体的な対策や、私たちが気を付けるべきポイントをご紹介します。
専門業者さんによる事前の「熱割れ計算」の実施
プロの施工業者さんにとっては、「網入りガラスだから内窓を付けられない」と判断するのではなく、「必ず事前に熱割れ計算(シミュレーション)をして、条件を満たす場合のみ施工する」というのが標準的な対応となっています。
このシミュレーションでは、以下のような条件を細かく考慮して熱応力を数値化します。
- 既存のガラスの種類や厚み
- 窓の方角や日射条件
- 建物の地域や気象条件
- 日陰を作るひさしや周辺建物の有無
- 設置予定の内窓の仕様(Low-Eの有無や種類)
これらのデータをメーカーの専用システムに入力し、算出された熱応力がガラスの許容範囲内に収まっているかを判断します。
安全な数値であることが確認できれば、リスクはコントロール可能と言えますので、まずは信頼できる専門業者さんに相談し、正確な計算を依頼することが最も重要です。
Low-Eガラスの種類の適切な選択
Low-E複層ガラスと一口に言っても、金属膜のコーティング位置によって「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」などに分かれています。
設置する方角や既存の窓の特性によって、どちらを選ぶべきかは大きく変わります。
例えば、日射しが強い南向きの窓で、遮熱タイプを選ぶか断熱タイプを選ぶかによって、窓と窓の間にこもる熱の量は変動します。
一部の専門家の見解によれば、条件によっては遮熱タイプの方が熱割れしづらくなるケースも指摘されています。
製品仕様による細かな違いも、熱割れ計算を通じてプロの担当者さんが適切に判断してくれますので、自己判断ではなく専門的なアドバイスに従うことが推奨されます。
危険なDIY(遮熱シートや断熱フィルムの貼り付け)を避ける
近年、一般消費者向けに「100円ショップの遮熱シートや濃色フィルムを、網入りガラスやペアガラスに自己判断で貼るのは危険」といった注意喚起が多く見られます。
DIYによる熱割れ事故への警戒が強まっているためです。
網入りガラスに遮熱シートや断熱フィルムを直接貼り付けると、フィルム自体が太陽熱を吸収し、ガラスの表面温度を急激に上昇させてしまいます。
計算に基づかない自己流の断熱対策は、内窓を設置する以上に熱割れのリスクを予測不能なほど高める可能性があります。
窓の性能を上げたい場合は、安易なDIYは避け、窓リフォームの専門業者さんに依頼するのが最も安全な選択と言えます。
正しい知識とプロの診断で安全な断熱対策を
網入りガラスとLow-E内窓の組み合わせについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここまでの重要なポイントを整理します。
- 網入りガラスは内部の金属網の影響で、熱割れを起こしやすいデリケートな素材です。
- 内窓を付けると窓と窓の間に熱がこもりやすくなり、さらにLow-Eガラスの高い反射性能が加わることで、温度差が生まれ熱割れのリスクが高まります。
- しかし「絶対に設置してはいけない」わけではなく、専門業者さんによる事前の熱割れ計算で安全性を確認できれば設置可能です。
- 自己判断でのフィルム貼りなどのDIYは、熱割れを誘発する可能性が高いため控えることが推奨されます。
リスクを過度に恐れるのではなく、正しい知識を持ってプロに任せることが、快適な住環境への近道となります。
まずは専門業者さんへ相談してみましょう
「我が家の窓でも内窓を付けられるのだろうか」と迷われている方は、ご自身で悩む前に、ぜひお近くの窓専門店やリフォーム業者さんに現地調査を依頼してみてください。
専門業者さんであれば、ご自宅の環境に合わせた熱割れ計算を正確に行い、最適なガラスの種類を提案してくれます。
安全で暖かい理想の窓辺を手に入れるために、まずはプロの力を借りて、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。